三度目の夏
この年の初夏は
静かなものです
あれだけ賑やかだった子供たちも、もう居ません
誰も彼もが違う場所へと去って行きました
静まり切った部屋は
生まれた時から
ずっとそうだったはずなのですが
cho-ちゃんは
すっかり落ち着きを失います
梅雨が明け
日差しは、部屋の奥までは入らず
植物たちや浮遊する空気の焦げる匂いが通り過ぎ
ポン君が
yuruや子供達の居なくなった場所を眺めると
急にcho-ちゃんは鳴き始めます
甘えなのか、苛立ちなのか
小さな体に満ちた訴えは
一体、どこへ向かうのか
太いようで、か細い鳴き声
いつまでも止まない声に
ポン君はそっとcho-ちゃんを抱きかかえ
白く柔らかな魂に唇を寄せ
軽い眠りにつきます
風はぬるくとも
混ざり物のない光りに包まれた
穏やかな日々にあって
何もかもが急ぎ足で
目の前を去っていくようです